Inner Circle

くじらを見た日

イェオ・シュウ・フーンがシドニーで体験した海辺の一日をご紹介

くじらを見た日
しかも、2頭がダンスでもしているかのように仲良くたわむれながら泳いでいるではないか。くじらのすぐそばには、客をいっぱいに乗せたホエールウォッチングボートが浮かんでいるが、私たちは親切なオーストラリア人と出会ったおかげで、こんな素敵な光景を陸から眺めることができたのだ。

キャンベラからシドニーへ向かうため、私はプロペラ機のダッシュ7に乗り込んだ。搭乗前、エアーニュージーランドのラウンジで不吉な曇り空が気になっていたのだが、案の定、悪天候のために荒れ模様のフライトとなった。しかし、移動のタイミングが良かったのだろう。シドニーに到着すると一転して晴れやかな春の陽気が迎えてくれた。まるで、パーティー会場に着いて華やかな装いの女主人に出迎えられたような気分である。

空港からタクシーでシャングリ・ラ ホテル シドニー に移動する。タクシー運転手は実に陽気なレバノン人で、自分が建てたマイホームがいかに素晴らしいかを力説し、景気の低迷を嘆き、豪ドル高が旅行客の数に影響を及ぼしていると不満をもらし、道中、片時も休むことなくしゃべり続けた。

あまり知られていないかもしれないが、シャングリ・ラ ホテル シドニーは国内のビジネス客やレジャー客にも大人気だ。総支配人のフランツ・ダンハウザー氏によると、シドニーの住民は週末、このホテルに宿泊して、絶景を望むレストラン、アルティテュードで食事をするのが楽しみなのだという。

いつものことながら、私が宿泊した部屋からは息を飲むような眺めが広がっていた。満月が静かに港を照らし、ハーバーブリッジとオペラハウスが両脇にたたずんでいる。こんな景色を目にしたらじっとしてはいられない。フライトで疲れていたにも関わらず、私はザ・ロックスの辺りまで夜風に当たりながら散策を楽しんだ。

翌朝、友人がタマラマビーチからボンダイビーチにかけて開催されている「Sculptures By The Sea(海辺の彫刻展)」を見に行こうと誘ってくれた。この展覧会は年々規模を拡大しながら今年で16年目を迎え、週末の混雑ぶりは相当なものだという。この日は火曜日だったが、課外授業の子供たちや旅行者や地元の住民など、温かい日差しの下、海岸遊歩道に沿って出現するさまざまな作品を思い思いに堪能する人々でかなりのにぎわいを見せていた。

私たちが最初に足を止めたのは「Tent of Wonders(不思議のテント)」と題する彫刻で、ライオン、ヒヒ、サイなどの動物の生態系に狩猟がいかなる影響を与えてきたかについて警鐘を鳴らす作品となっている。顔のないヒヒの彫刻は少々恐ろしく感じたが、はねられた自らの頭部を捧げ持つサルの姿からは、アーティストの主張がはっきりと伝わってくる。

海辺の風景をバックにすることで作品をさらに引き立たせているこの彫刻展では、ユーモアや奇抜さをひとつまみ加えて仕上げた作品群が特に印象的だった。興味をお持ちの方は、Pinterest(ピンタレスト)の私のボードもぜひご覧いただきたい。

アート観賞のあとは、タマラマでの人混みの疲れを癒すために、ワトソンズベイで一休みだ。心地よい風に吹かれながら海沿いの崖の上から沖をぼんやり眺めていると、突然、頭上から声をかけられた。「ここまで上って来ると、もっといい眺めだよ。」

見上げると、信号所の窓から男性が手招きしている。鉄の門を指さしながら「階段を上っておいで」と言うので、狭い階段を登って行くと、両側の壁には、この湾に最初に入港した船団や、ここに足跡を残してきた人々の古い写真が何枚も飾られている。

男性はフィリップと名乗ると、望遠鏡をのぞくように言った。「よく見てごらん。くじらがいるはずだよ。」目を凝らすと、確かにいた。しかも、2頭がダンスでもしているかのように仲良くたわむれながら泳いでいるではないか。くじらのすぐそばには、客をいっぱいに乗せたホエールウォッチングボートが浮かんでいるが、私たちは親切なオーストラリア人と出会ったおかげで、こんな素敵な光景を陸から眺めることができたのだ。

愛すべき性格の人々との出会い、これがオーストラリアの素晴らしいところだ。フィリップはボランティアの沿岸警備隊員として、週に一度、信号所で働いており、この仕事に誇りを持っているという。この場所で、このタイミングで彼に出会えたことは、私にとって最高にラッキーな出来事だった。サンクス、マイト!

 シャングリ・ラホテル シドニーにいますぐご予約を ハートトークへ戻る 

コメントがありません

 
 
ゴールデンサークル会員のみコメントすることができます。下記からサインインしてください。会員登録がお済みでない方は、 こちらから 今すぐお申し込みいただけます。コメントおよびユアサークルへのご投稿は、英語または中国語のみの受付となりますのでご注意ください。
  • Queries: 0
  • Query Time: 0.0000 s
  • Overall render: 0.2954 s