Inner Circle

インドのラジャスタンで、いにしえのキャラバンを追体験

今月のイェオ・シュウ・フーンはインドの秘境でチャイとおしゃべりを満喫します。

インドのラジャスタンで、いにしえのキャラバンを追体験
行き交う三輪タクシーのトゥクトゥク、牛、犬、ラクダ、バイクなどインドで運送に使われているあらゆるものの合間をぬって歩くことそのものが冒険的であり、わくわくする体験だった。

ラジャスタンへの7日間の旅からもどってきて1週間、私はいまだに余韻にひたりきっている。此の地で見たもの、嗅いだもの、味わったもの、経験したもの。そしてもちろん、買ったものたちの。

母なるインド、とでも言うべきか。その素朴で力強い、みごとな吸引力には、そこから巣立った後でさえあらがうことができない。

到着して最初の感動は、新しいデリー空港の劇的な進化ぶりだった。バンコクから合流する友人を待つ3時間がまったく苦にならない。旅のスタートの腹ごしらえとして私たちはドサイとチャイマサラの朝食を楽しんだ。

空港の外にはミニバンとドライバーが待っていた。運転手のスーツに片耳イヤリングといういでたちですぐに見分けることができた29歳のモルクートは、ラジャスタンから我々を迎えにきていて、それから一週間ずっとドライバーをつとめてくれたのだが、この彼がまた大当たり。つねにニコニコと愛想がよく、身だしなみは完璧で、東南アジアから来た女5人のかしましいお客に、母国のすばらしさをあますところなく見せようという気概にあふれていた。

私たちは、デリー、アグラ、ジャイプルという、インドといえばお決まりのゴールデントライアングルコースは取らず、あえてマイナーなラジャスタン地域から旅を始める。

最初の夜を過ごしたマンダワ城は、2人の兄弟が所有しているところで、一人は自分の持ち区分を補修してホテルにしていたが、もうひとりは何も手をつけず放ったままなので、外から見るといつまでたっても建設中のように見えるホテルだった。

朝になってマンダワ市内を散策に出かける。ここはハヴェリとよばれる17世紀の大邸宅がたくさん残る歴史ある町で、ガイドはそれらにまつわる逸話を山ほど紹介くれた。

それによれば「ハヴェリ」とはペルシャ語で「風の家」を意味し、これらの家々はその昔、パキスタンやイランとインドの間を行き来して香辛料や絹、阿片、金銀を売買した隊商の商人たちに宿を提供していたそうだ。

現在では隊商にかわって私たちのような、町から町を見て歩く旅人たちが、この地の家内産業を支えている。

香辛料の商人や、カーペット織の職人、繊維商などの継承に役立っていることを知るのは嬉しいことだった。

どの町でもこういった場を訪ねた私たちは、決まってラグやカーペットやショールを必要以上に購入した。いろいろな逸話を聞きながら商品を見ているとどうしても欲しくなってしまったし、事実、私たちが出会った品々はデザインにおいても素晴らしいものだったから。

旅行中いったい何軒のレストランで食事をしたことか。そしてどこもとても美味しかった。東南アジア人の私たちにはあまり抵抗のない味ばかりだったけれど、これが典型的な欧米人なら、毎日カレーを食べるのはかなりきついことだろうとは想像できる。(その場合は、ホットサンドイッチを注文することをお勧めする)。

ジャイサルメールの町では、インド最古の砦を訪ねたが、行き交う三輪タクシーのトゥクトゥク、牛、犬、ラクダ、バイクなどインドで運送に使われているあらゆるものの合間をぬって歩くことそのものが冒険的であり、わくわくする体験だった。

私たちは屋台に立ち寄ってチャイを飲みながら、我々がどこからきたか興味津々の地元の人たちとおしゃべりした。なぜ、古代に建てられた砦の中で自動車やバイクの通行が許されているのかと質問した私たち(当然、歩行者だけを想定して建てられているものだと思ったので)に、地元のおじさんは首を振って言った「インドではいろんなことが禁止されてるけど、どんなこともアリなんだよ」

何日かあとに、私たちは半砂漠にラクダ乗り体験に行った。そのときはじめて知ったのだが、ここにいるのは厳密にはラクダでなく、コブがひとつしかないドロメダスという動物たちなのだった。

コーラを売ろうとして私とラクダにつきまとってくるピーターと名乗る少年には少々閉口したものの、この短時間のラクダ乗りは楽しかった。コツをつかむまでがちょっと大変だがいったん慣れてしまうと、この威厳ある動物を乗りこなすのは本当に楽しい経験だった。

これはほんの序の口で、その後、私たちはマンワールの砂漠の真ん中で本物のキャンプを体験する。

半月と星空の下、そしてかがり火の下、私たちはラジャスタンの民族音楽と踊りを堪能した。男たちが唄い、楽器を奏でると、女たちは色とりどりのスカートをひらめかせて踊り、ラクダたちは微動だにせず静かに待っている。まさに完璧な瞬間だった。もちろん、ほかにも完璧な瞬間にたくさん出会ったのだけど。

たとえばテントから出て砂の上に座って見る朝日が昇る瞬間、砂が色づいていくのを見た時、日没の景色、サルたちの様子や、生まれて10分しかたっていない赤ちゃんヤギが歩き出すのを見た時などなど‥‥。

繰り返しになるけれど、私はいまもこの旅を反芻していて、今後しばらくそうするだろう。なぜならこれは、心を開いて母なるインドを体験した旅行者すべてへのインドからの贈り物なのだから。

 2013年にシャングリ・ラ ホテル バンガロールとパームリトリート シャングリ・ラ バンガロールがオープンします! ハートトークへ戻る 

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