Inner Circle

船上生活体験と
タイ北部山岳民族とのダンス

専属コラムニスト、イェオ・シュウ・フーンが、モン族料理とバティック染め、忘れられない4時間のトレッキング体験をご紹介します。

船上生活体験と<br>タイ北部山岳民族とのダンス
この季節に吹く涼しい風が、すぐに深いリラグゼーションをもたらしてくれる

「とにかく何をするにしても、ゴールデントライアングルは絶対だ」と旅仲間の英国人は言った。

溢れる旅情報の影響力のせいなのか、彼の頭にはしっかりとその三角形が刷り込まれていて、タイ、ラオス、ミャンマーの3カ国を一度に旅することが必須だった。

メコン川を初めて見るという彼は、チェンマイ、チェンセン経由の北部タイへの4日間の旅行計画に興奮しきっていた。

「ご覧ください、こちらに第4の中国がございます」とガイドが指差したのは、川岸にある巨大な黄金屋根の建物だ。「このカジノと土地は、中国人ビジネスマンが99年のリース契約をしているのです」  

「対岸にちょっとだけ行けませんかね?」ボートの舳先がラオス側に向いたとき、同行の別の友人は頼み込んだ。

「ミャンマーは?あそこまで行けないの?」ガイドがミャンマー側にあるまた別の黄金カジノを指差すと、別の仲間が言った。

ガイドは何回でも「ノー」と言い続けなければならない。おそらくどのツアーでも同じ光景が繰り広げられているのだろう。境界線を超えたい、たとえ、対岸の土に触れるだけでも、片足をおろしてみるだけでも。という人間の欲求はそれほどに強いものなのだ。

世界で12番目に長く、アジア最大の川であるメコン川は、私が今まで見た中で最も水かさを増していた。わずか2年前、タイ正月のソンクランの時期にラオスのルアンパバーンを訪れ、日帰りボートでこのあたりに来たときには川はすっかり干上がっていた。

私はこれまでメコン川のいろいろな顔を見てきた。チベットの源流に近い雲南省の麗江では、その川は「瀾滄江」と呼ばれている。それからミャンマー、ラオス、タイ、カンボジアを流れ、ベトナムのメコンデルタで広く海に流れ出すのだ。

数ヶ月にわたるモンスーンの後のこの時期には、メコンはタイ北部全域で深い水をたたえる。かつて芥子栽培の中心地だったこの土地は、今では米やとうもろこし、茶、タバコなどが青々と育っていて、タイが素晴らしい農業国であることを実感させてくれる。

わたしたちは丘の上にある山岳民・モン族の村にあるロッジを訪れた。アジアンオアシス社と政府の協力、特別なスキームによって、このロッジはモン族の人々によって維持運営され、観光収益は村のものになるという。

自分が使ったお金が、直接その土地の人々の利益になるのは旅行者にとっても嬉しいことだ。モン族の人々が宿泊中の面倒もみてくれる。彼らが料理し、給仕して くれるのだ。モン料理はタイ料理というより中国料理に近く、シンプルで美味しい。男の子も女の子も素朴で誠実だ。村では工芸品を買うことにしよう。その代 金は作った人々の懐に入るのだから。

到着初日、わたしたちは村を巡るツアーの後、モン族のバティック染めのナプキン作りに挑戦した。バティックは素敵に複雑な文様だ。ペンのような道具にワックスを入れて布に模様を描き、染料に浸ける。私は賢くもいちばん単純な模様を選び、すてきな作品を つくることができたが、友人たちはみな散々な結果になった。

最終的にわたしたちは60枚のナプキンを村に発注した。バティック染めを教えてくれた講師のおばあさんの注文を受けたときの笑顔といったら見ものだった。「彼女の芸術をあなたがたが評価してくれたことが嬉しいのです」とガイドは言った。

村ではまた、土地の祈祷師を訪ね、その仕事について学んだ。祈祷師になるにはほとんど命にかかわるような修行をしなければならず、生死の境を体験して、初めてパワーを得ることができるのだそうだ。

50代初めのこの祈祷師は、重い肺病を克服していた。今では村一番の祈祷師である。彼の自宅は(ちなみに、モン族の家には窓がない。魂が家から出ていかないよ うにするためだ)一面ブタの顎の骨で飾られている。顎の骨一対で、人をひとりを癒せるそうで、毎年更新されるという彼の顎の骨のコレクションを見てもその 仕事ぶりがうかがえる。

宿泊先のロッジは窓が多く快適だった。趣のある4つのロッジは、それぞれゴールデントライアングルを見おろす崖の上に建てられていて、ただただ素晴らしい景観が楽しめる。ロッジのバルコニーに座ると二度と動きたくなくなる。この季節に吹く涼しい風は、すぐに深いリラ グゼーションをもたらしてくれる。

マッサージなどは必要ないかもしれないが、希望するならば部屋でマッサージを受けることもできる。歩き回りたいとは思わないかもしれないが、その気になれば丘をめぐるトレッキングコースがいくつもある。私は4時間のトレッキングに出かけ、深い眠りについたのだった。

モン族の踊りと演奏を見た夜は、不思議なほど元気づけられた。私が彼らと一緒に踊っている姿は、誰ひとり見ていないと願おう。

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